性感染症への予防策

性病や性感染症は、現在では「STD」という英語の頭文字をとった略称で呼ばれることも多くなっていますが、基本的には性行為による血液やその他の分泌液と粘膜との接触によって起きる病気です。
古典的な性病としては、真性細菌の一種の感染によって発疹や腫瘍ができたりする梅毒、排尿時の激しい痛みや子宮頸管炎を引き起こす淋病などがあります。その他の性感染症としては、免疫細胞が破壊されてしまうHIV感染症(エイズ)、膿やかゆみを伴うことがあるクラミジア、小さな水疱を生じ痛みのあるヘルペスなどが知られており、症状の深刻さの度合いはさまざまです。
単に妊娠を避けたいというのであれば、毎日時間を決めて服用を続けることで効果を発揮する避妊ピルがあり、万が一避妊に失敗した場合でも、緊急避妊薬と呼ばれるものを服用することで、かなり高い確率で妊娠を阻止できます。
しかし、避妊ピルや緊急避妊薬のようなものは、性病・性感染症までも防止するような効果があるわけではなく、これらの服用でたとえ避妊に成功したとしても、性行為によって性病・性感染症にかかるリスクがあることは否定できません。
こうした病気にかからないようにする予防策としては、不特定多数ではなく、特定のパートナーとの交際にとどめるようにするとともに、ゴムの装着などの従来からある避妊方法を併用することが、もっとも重要となります。
ゴムの装着による妊娠確率は、避妊ピルや緊急避妊薬を用いたときよりもはるかに高く、特に破損や脱落などの事故を含めた不適切な使用方法によるものが原因となっていますが、例えばゴムの装着と避妊ピルの服用を併用するようにすれば、病気予防と避妊の両方の目的を果たすことが可能です。

緊急避妊薬ピルってなに?

緊急避妊薬ピルというのは、避妊をしないで性行為をしたり、仮に避妊をしたとしても何らかの原因で失敗してしまったというときに、緊急に妊娠を予防するための錠剤(ピル)を指しています。専用の緊急避妊薬として販売されている錠剤も既にありますが、中用量ピルなどの一般的な避妊薬を緊急避妊薬がわりに使うこともあります。
専用の緊急避妊薬のピルは、黄体ホルモンという女性ホルモンの一種を成分としているもので、これを正しく服用することによって、排卵が抑制されたり、受精が妨げられたりするため、妊娠に至ることがなくなります。
緊急避妊薬は性行為をしてから72時間以内に服用すべきものとされており、もしこの期限を過ぎて、実際に妊娠してしまってから服用したとしても、その効果は発揮できないとされています。妊娠というのは受精卵が子宮内膜に着床することをいいますので、この72時間以内であれば、薬の力で強制的に子宮内膜を剥がして生理(月経)と同様の出血を起こさせることができ、その結果として妊娠を阻止することが可能になるのです。
緊急避妊薬のピルには、このように妊娠を予防する効果がありますが、100パーセント完全というものでもありません。この緊急避妊薬のピルは、もともとフランスで開発されたものですが、そうした海外の臨床成績などのデータによれば、正確な使用につとめたとしても、2パーセント程度の人が妊娠してしまう場合があるといい、これは毎日服用して計画的に妊娠予防をする通常の避妊ピルと比べると、やや成績がよくないといえます。このため、緊急避妊薬の用途はあくまでも緊急の場合に限るものであって、通常の避妊ピルの代用としては使用できないものとされています。